カナコラム  (更新は毎週月曜・木曜の予定です)

おばあちゃんの声

2003/12/04

私の父の旧姓は「鎌田」。
尺八を演奏するときの雅号は「蓮童」でした。
母との結婚で「宮崎」姓になり、最終的雅号は「湖舟」

父の母(祖母)は民謡歌手で、本名は「モヨ」。
芸名は「鎌田ヒロコ」と聞いていました。
私が生まれた時は大変喜んでくれたとのことですが、私は顔も覚えていませんし、声を聴いたこともありません。

今年秋、江差に行く機会があり、そこで立ち寄った江差追分会館内の古いレコードのコレクション室で、いろいろな方の江差追分を聴きました。
収録されている人の名前の中に「鎌田貞子」という名前を発見しまして、「父の旧姓と同姓」ということでなんとなく気になって聴きました。

最近になってその声の主「鎌田貞子」は祖母であることがわかりました。
それは生まれて初めて聴いたおばあちゃんの声だったのです。
その唄の尺八伴奏が父だということもわかりました。

父は母と出会ってからは民謡尺八から遠ざかって、三曲界の曲を演奏するようになったのですが、私自身は父の吹く尺八の音を記憶しておりませんので、「祖母の声と父の尺八」を聴けたことは新鮮な感動なのです。

でもこの時はただ漠然と聴き流しただけでしたから、今にして思えば「出会えた!」という感動が残っているだけ。
来年、もう一度江差に行ってゆっくり聴き、今度はしっかり記憶してこようと思っています。

また、三橋美智也の自伝の中に「鎌田蓮童師から民謡の三味線を習った」という記述があり、父が三味線を弾いていたということも、教えていたということも知りませんでしたから、このことにも驚きでした。
数行の文章に父の過去を覗いた気持ちでした。

2003年の秋の一日、もしも江差に行かなければ、一生「おばあちゃんの声」を知らないままでいたかもしれない・・・。
偶然の出来事に感謝しています。

かなこ

 

12/23(火)「宮崎加奈古 気ままに箏ライブ vol.1のスケジュールをアップしました。

感想・ご意見をお聞かせください。

miyazaki.kanako@gmail.com