ども、それでもBB.キングが大好きなendyです。
●湯気の正体
短い間ではあったけれど、初めてのニューヨークは私にとってとても刺激的な街だった。
とても寒い時期だったので、まだ雪が残っていたセントラルパークは、ジョギングするニューヨーカーも見当たらず、私たちが散歩する道には犬のウン○がそこかしこに鎮座していた。
心なしか、アメリカのウン○は太く見えた。
私の中で一番NYらしい風景といえば、道路脇のマンホールから立ち上がる湯気である。
ニューヨークを舞台にした映画では必ず目にする光景である。
実際、自分がその湯気の前に立った時は、初めて登別温泉の地獄谷の前に立った時よりも興奮した。
マンハッタンでは電気やガスの配管と同じように、お湯による暖房パイプが地下に埋め込まれているためなんだそうだ。
その湯気の脇を、これ以上ないほど厚着をした黒人の女の子が寒そうな顔して通り過ぎる。
●地下鉄からソウルナンバー
随分昔に聞いた話であるが、NYの地下鉄は怖いらしい。
プラットホームの壁にはスプレーペンキで落書きがここかしこに描かれてあり、地下鉄の車両には、ドロンとした目をした黒人が怪しげな視線でこちらを睨む・・・らしい。
最近はそうでもないらしい、という話を聞いて、早速乗ってみることに。
まず車道から地下鉄へ続く階段を降りると、どこからともなく素晴らしいR&Bの歌声が聴こえてくる。
その音の発生源を探すと、そこには若い黒人女性がマイクを片手に歌を歌っていた。
周りにはそこそこの人だかり。
彼女はカセット式のカラオケマシンに、マイクのコードを一本だけ差し込み、それはそれは見事なソウルナンバーを聴かせてくれた。
出来ることなら、ずっとそこにいたいと思う気持ちを抑え、ポケットの中からあるだけの小銭を彼女の前に置いてある箱に投げ入れ、声にならない声で「サンキュー」といってプラットホームに向かった。
●パフォーマンスへの道は厳しい
プラットホームに降りて、さらに私たちは驚いた。
なんとそのプラットホームの上でも、パフォーマンスが繰り広げられていたのだ。
今度は若い白人男性が奏でるバイオリンでのクラッシック演奏。
コンサート会場ではなく冬のNYの地下鉄という状況が、彼のバイオリンの音に哀愁を加える。
まるで、映画の中のワンシーンにいるような気持ちにさえなってしまった。
この路上や地下鉄のパフォーマンスは、NYの風物詩のひとつだけれど、誰でも勝手にこのパフォーマンスをやっていいのかというと実はそうではない。
NY市が行う厳しいオーディションに合格しなければいけないんだそうだ。
日本で最近見られるストリートミュージシャンとは根本的に違うのだ。
アメリカはプロとアマチュアの境界線は、日本とは比べ物にならないくらい高い。
●どこへ行くんだ?
さて肝心の地下鉄。
怖いというイメージは全然なく、ちょうど夕方の帰宅時だったこともあって、東京の地下鉄とさほど違わない雰囲気。
怖くないのはいいのだけれど、一体その地下鉄がどこに向かっているのかがわからない。
降りる駅はわかっているのだが、どっちに向かって走っているのかわからずに乗ってしまったのだ。
英語が話せないのはわかっていたが、こういう状況になると方向どころか文字も読めなくなるらしい。
仕方ないので、次の駅で一度降り、さっきの駅からどっちに向かっているのかを確認することにした。
もちろん私たちは逆向きに乗っていたのは言うまでもない。



※出前コンサートのリポートをアップしました。
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