私がベースという楽器を弾き始めて、もう30年近くになろうとしています。エレキギターを弾くバンドマンなんぞは、「不良少年」のイメージがまだ残っていた時代です。もちろん私もその「不良少年」の一人として、数々の親不孝を重ねながら音楽活動をしてきたのです。そんな私が演奏している姿を、ウチの母は生で見たことがありませんでした。
先日、ウチの母は肺炎になってしまい2週間ほど入院してしまったのですが、年齢的なこともあってとても弱気になっていました。なんとか歩けるようになって病院のロビーまで散歩しにいったときに、母の目に、ある新聞の地方記事の写真が目に留まりました。そこにはベースを抱えた自分の息子が写っていたのです。その記事は宮崎さんとの演奏活動を取り上げた記事でした。
見舞いに行った私に母は「お母さんね、いいもの見つけたんだ」と言って、嬉しそうにその記事を差し出しました。母は嬉しくなって、こっそり新聞を病室に持ってきたと言いました。その後も、退院するまで何気なく看護婦さんに自慢していたようです。
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