第13回秋韻コンサート                             2004/9/11(土) 18:30 金森ホール

はじめに  第一部  第二部  宮崎加奈古  お客様の声  プログラム・砂花

宮崎加奈古

毎年色合いを変えて続けてきたつもりの秋韻・・・。
今年で通算13回目となり、演奏した曲数を数えてみましたら、アンコール曲も含めて邦楽(筝や三弦の曲)が64曲、他ジャンルの曲は82曲、トータル146曲になっていました。今回もたくさんのお客様に聴いていただけまして、充実感とともに終えられました。

私は決してお客様本意の演奏をしてきた訳ではありません。
要望に応える・リクエストに応えるなどという事もしてきませんでした。自分が演奏したいと思う曲に自分なりの思いを映して演奏したい!そんなふうに思って始めたコンサートが「秋韻」です。
ゲストの方々や聴いてくださる方々、多くの励ましに活力を貰いながら13回・・・。感謝しております。

1989年の秋に≪秋韻 宮崎加奈古ソロコンサート≫と銘打って、筝ひとり(ゲストは尺八・ピアノ)で開催した第一回目のシーンが懐かしく思い出された朝でした。なんとなく、ただなんとなく、感傷的な気持ちになった日でした。
自分でも不思議なくらいの平常心・・・。あがり症の私ですのになぜか今回は落ち着いていました。それはきっと、私なりに私なりの歴史が生まれていることに思いを馳せたせいかもしれません。
ドップリと自分に浸りながら演奏していたように思います。筝ソロも三弦ソロも筝アンサンブルも・・・。二部での歌なんぞは、ほとんど歌手気分でした。声も良く出ました!

多くの方々が、アンケートに色々な感想やご自分の思いなどを書いてくださいました。また、メールやお手紙、対話などでの感想もたくさん頂きました。決して儀礼的ではなく、親身であり正直な気持ちを伝えてくださったことが嬉しかったです。

私が中学生(函館市立中央中学校)の頃の国語の先生だった「Y・O先生」は、毎年丁寧な「感想文」をくださいます。今年も濃厚な感想文が届きました。私のMC(=おしゃべり)や、一挙手一投足までチェックされているようで、怖いくらいですが、とってもありがたいお便りであって、毎年心待ちにしているプレゼントなんです。
先生は「秋韻」当日はGOLFを楽しんでいらしたとのことでしたが、開演時には奥様と一緒に客席に居てくださいました。

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いつもならGOLFの後で友人達と直会(なおらい)を居酒屋で催すのが習わしなのだが、今日は厳粛な集まりがあるからといって失礼してきた。それが実に正解の素敵なコンサートであった。
 
「風韻」ということばがあって、これは自然のたたずまいや枯れた人柄、また芸術作品などから全体的に感じられる趣き、といったような意味合いである。加奈古は枯れた人柄というにはほど遠いけれど、今回の「秋韻」にはその「風韻」というイメージがいたるところに漂っているという気がした。
 
風という文字がこのコンサートの主役を担っていたせいもあるだろう。
第一部の「風のセレナーデ」と「サマーウィンズ」はもちろん「砂花」(加奈古作)でも

・・・ひとり歩く道に 風が歌う
・・・風に身を委ねて・・・

という辺りにその主題が現れている。
 
ちなみに「砂花」という題は卓抜である。この2字の単語はこれまでこの世に存在しなかったはずだ。原題をこうもぶった切ったそのセンスを買う。詩=詞の流れはいささか叙情性が支配しているが、この題名によって、人が人を傷つけ合う殺伐な「無機質」とさえ感じられる現代の悲劇を、それとなく背景に浮かび上がらせる効果をもたらしている。

・・・心閉ざして 砂になっても 涙は消えない・・・・
・・・砂に咲く 愛しい花を 優しく包むように・・・・

始まってすぐの問いかけの後と、終わりの直前に出てくるこの「砂」の位置と両者の呼応は、なかなかいいバランスである。曲の展開も、この詞の心をきめ細やかに表していて自然である。

静かで穏やかで、優しいが芯が強くて言葉の感覚が鋭かったかつての細身の女の子が、家業の音楽の世界に身を置きながら精進して自らの枠を広げ、歳月を経てこのような創造的な姿を見せるのも、眺めていて嬉しいものである。
叶っても叶わなくてもとにかく祈ることを大切にしたい、というメッセージが加奈古のトークにもプログラムの構成の中にもあったが、これもまた同感である。

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上記はお手紙の一部分なのですが、こんなにも心を配って客観視してくださったのか・・・と、私の方が感激しちゃいます。「今年も秋韻コンサートをやって良かったー!」と思う時でもあります。

来年はどんな曲を演奏しようかな〜?
秋韻の原点に戻ってソロ中心にしようかな〜?
筝の唄物も演奏しようかな〜?
誰とどんな曲を弾こうかな〜?
早くも気持ちは次回に向かっています!
ゲストはですね・・・内緒。

もうすでに構想は生まれています!(o^-')b。どうぞお楽しみに!

 

 

つづく

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